回り灯籠

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菅総理退陣で一番ショックを受けているのは立憲民主党では?

3日のお昼前、「菅首相、総裁選に出馬せず」の一報が流れた。3日は、自民党の役員会と総務会で人事一任の取り付けができるかどうかが焦点と言われていた。それが一転して役員会での総裁選不出馬の報告となった。

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日本経済新聞web9月4日から

追い詰められた菅義偉(よしひで)総理は「名誉ある撤退」の道を選んだのだろう。この1年、菅総理はよくやったと思う。もともと参謀タイプの人だし、総理になりたくてなったわけではない。安倍前総理の病気再発で、当時の岸田文雄氏はまだ心もとなかったから、自分がやるしかないと腹をくくって総理になった人だ。

菅総理の実績

思いつくまま菅総理の実績を挙げてみると、

  • 支持率が下がるのを承知で、福島原発のたまりにたまった処理水の海洋放出を決めた。
  • 東京五輪パラリンピックの無観客開催を決めた。
  • バイデン新大統領の対面による最初の首脳会談の相手として訪米し、台湾問題の平和的解決をアピールして中国を牽制した。
  • 国際的要請を真正面から受け止め、脱炭素社会の実現に舵を切った。
  • コロナワクチンも、海外メーカーと交渉して国民全員に打てる分を確保する約束を取り付けた。
  • 高かった携帯電話料金の値下げもある程度実現した。
  • デジタル庁創設にこぎ着けた。

こんな感じだ。考えればもっとありそうな気がするが、なぜ「菅総理では衆院選は戦えない」とまで言われるようになってしまったのだろう。

ロックダウンをしても、解除すればすぐ感染は拡大する

私は菅総理を責める気にはなれない。

7月、8月あたりは「緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の効力が弱い、ロックダウン(都市封鎖)をやるべきだ」という街の声も聞かれ、全国知事会も「ロックダウン的な手法を検討してほしい」と提言していた。

確かに、ロックダウンをすれば短期間で感染拡大を抑え込むことはできる。しかし、ロックダウンを解除すれば、人流が増えてすぐに感染は広がる。感染拡大が一定レベルを超えれば、またロックダウンをやらなくてはならない。「ロックダウン→解除→ロックダウン→解除」の繰り返しで、結局は同じことだ。

この悪循環を断つにはワクチン接種を進めるしかない。しかしこれも、国産ワクチンがない以上は、海外メーカーから調達した分で対処するしかなく、国民は「遅い」と言うけれど、これ以上早くするのは無理だったと思う。

ワクチン接種を早めるにはワクチンの調達を増やさなければいけないが、WHOはワクチン供給が先進国に偏っていると批判しており、途上国分を日本国民のためにぶんどってくるようなあさましい真似はできない。

誰が総理大臣でも難しかった

ニュースを見ていたら、「コロナ対策は誰が総理であっても難しかったと思う」と言っている人が何人かいた。神奈川県の黒岩知事も、菅総理はよく頑張っていたと思うとかばっていた。私も同感だ。

私は、国民の側が、誰が総理大臣であってもできないような高い要求を求めすぎていると思う。医療の逼迫にしても、マンパワーに限りがあるのだから、デルタ株で感染が急拡大すれば、患者さんには「当面ホテルで療養を」と言うしかないし、ホテルのストックがなくなれば「自宅で療養を」と言うしかない。中国のように「野戦病院」をたくさん作ればいいという意見もあるが、これだって建物を作ってもマンパワーが足りないのだから、そう簡単な話ではないだろう。

とにかく今は、国民が人流の抑制に努める以外にないと思う。そうして時間を稼いで、その間にワクチン接種を粛々と進める。9月一杯でおそらく2回接種が国民の6割に達し、10月末には7割を超えるだろうから、その頃になれば、コロナ禍の出口が見えてくるはずだ。そう信じたい。

ショックを隠せない立憲民主党

菅総理の総裁選不出馬と総裁任期満了に伴う退陣が明らかになった今、野党の立憲民主党日本共産党社民党などは激しく反発し、怒りを露わにしている。しかし、内心は相当なショックを受けているはずだ。

菅総理のまま衆院選に突入すれば、自公政権過半数割れに追い込むことも夢ではなかった。しかし、これから総裁選が行われ、自民党の多士済々な面々が出馬して論戦を交わせば、嫌でも自民党にスポットが当たり、野党の影は薄くなる。

世論調査菅内閣の支持率は落ち込んだが、自民党の支持率はあまり落ちていない。次の自民党総裁すなわち次期総理は、それなりに高い支持率――それが40%なのか、50%なのか、はたまた60%になるのかは分からないが――を背景に総選挙を戦うことになるから、野党の議席はそんなに大きく伸びないと思う。

立憲民主党枝野幸男代表の「自民党には政権を担当する資格がない」という怒りの裏には、「してやられた」というやり場のない怒りが混じっているような気がするのだが、どうだろうか。