回り灯籠

憲法9条を改正して「一国平和主義」から脱却を!

元陸上幕僚長・岩田清文氏「台湾有事は日本有事」~「正論」懇話会で講演

産経ニュース11月19日に、元陸上幕僚長・岩田清文氏が長洲「正論」懇話会で講演したという記事が出た。

「台湾有事は日本有事になる」というもので、今月3日に新潮講座を受講して聴いたものと内容はかなり重なるようだ。詳報を読んでみると、改めて岩田氏の危機感が相当なものだと分かる。

紙媒体では20日付の2面に掲載されている。

f:id:mawaridourou21:20211212003259p:plain

陸上幕僚長・岩田清文氏が講演~産経新聞11月20日

紙媒体にはないが、産経ニュースには詳報も公開された。

www.sankei.com

山口県下関市の市生涯学習プラザで19日に開かれた長州「正論」懇話会の第38回講演会では、元陸上幕僚長の岩田清文氏が「中国の覇権拡大に我が国はどう備えるべきか」と題して講演。中国が台湾への軍事的圧力を強め、緊張が高まっていることについて「中台紛争は日本有事になる。しっかりとした備えが必要だ」と訴えた。講演の主な内容は次の通り。

               ◇

現在、核超大国の米ソ両国がにらみ合っていた冷戦時代と異なり、米中が競争する新冷戦に入っている。中国は今世紀最大の課題といわれている。

新冷戦は世界経済に強い影響力を持つ中国を、つぶさないようにしながら、いかに傲慢な覇権拡大を止めるか、という非常に難しい時代になっている。

アヘン戦争以降の欧米列強の進出を「百年国恥」と位置付ける中国は復興を図った。鄧小平時代は「韜光養晦(とうこうようかい)」として、才能を隠し、力を蓄える方針を掲げた。それが習近平時代に入ると「中国の夢」を掲げ、いよいよ大国として世界に出ていくと宣言した。

それを具体化する戦略は西側では一帯一路だ。海と陸のシルクロードを通り、スエズ運河への入り口にあたるアフリカのジブチに達した。ジブチには中国人民解放軍初の海外基地がある。

東側はどうか。ここにも「接近阻止・領域拒否」という明確な戦略がある。

九州を起点に沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島に至る「第一列島線」内の海域は中国の核心的な利益として、誰にも触らせないようにする。そして、それを守る緩衝帯として、伊豆諸島を起点に小笠原諸島、グアム、サイパンパプアニューギニアに至る「第二列島線」を引く。

この戦略は着々と進み、南シナ海のほとんどが中国の海になっている。

             × × ×

中国海軍はかつて外洋に出られない海軍だった。しかし、ここ10年で急速に力をつけている。10月には中露の合同艦隊が津軽海峡を通り太平洋に出て、九州沖の大隅海峡から戻っていった。10年前は太平洋に出られなかった海軍が今は米海軍と対抗し、超えるほどの力を持っている。米国議会ではかつて、2035年には中国に軍事的に追い越されるという報告がされていたが、6月にはその時期が2027年になると前倒しされた。中国はすさまじい勢いで軍拡をしている。

そんな中で、非常に危ないホットスポットになっているのは台湾だ。

習近平国家主席中国共産党総書記)は、台湾統一は歴史的な必然、任務だと主張し続けている。そして、その指導に従って、人民解放軍も能動的な戦争準備をすると明言している。

米議会の公聴会では、米軍のインド太平洋軍司令官が中国による台湾侵攻について、「6年以内に中国が本気かどうか分かる」などと報告した。その後も米政府高官や軍トップは、1~2年以内の侵攻はないだろうが、その先は分からないという時代に入ってしまったなどと発言している。台湾の国防部長も10月、中台紛争の危機は最も高まっていると述べ、早ければ(4年後の)2025年に可能性があるとした。

            × × ×

日本はどうか。4月に菅義偉首相(当時)が訪米した際、歴史的な声明が出された。約半世紀、日米首脳会談で「台湾」に触れたことはなかったが、「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」と明記した。

台湾有事は日本に関係ない話ではない。日本は巻き込まれるどころか、戦地になってしまう。

危機管理の鉄則は最悪の状況をまず考えることだ。段取りなく、成り行きで対処してはならない。

中国は最初から軍事力で攻め込むことはおそらくしない。情報操作や政治工作、そして経済的圧迫という非軍事的手段を採ったロシアによるクリミア半島併合をまねるだろう。

それでも、やむを得ず軍事侵攻する可能性がないともかぎらない。その場合、米国は台湾関係法に基づき、参戦するだろう。日本は平和安全法制上の重要影響事態、存立危機事態として米軍を支援することになる。

当然、中国はアメリカの参戦を良しとせず、日本に対してもさまざまな工作、妨害をする。約12万人の中国在留邦人を使った「人質外交」や中国国内での資産凍結もあり得る。そこを含めた経済安全保障を考えていかないといけない。

また、(沖縄県の)与那国島石垣島などの離島の無力化も企図するだろう。極超音速ミサイルの開発問題などもある。敵基地攻撃能力という議論の重要性が非常に大きくなっている。

日本政府はこれらに対し、しっかりとした準備ができていない。非常に危ない状況にある。新たな国家安全保障戦略の策定などにより、抑止力を強化していかなければならない。

詳報としては物足りない。ウェブニュースでの公開なのだから、もっと詳しく、それこそ全文掲載でもよかったのではないだろうか。台湾有事があるのかないのか、あるとすれば中国はどんなやり方をするのか、日本はどう対処すればよいのか、といったことは、今からしっかり考えておかなくてはならない。

岩田氏とは違い、中国の軍事的威嚇は政治的なもので、実際に侵攻することはないと言う専門家もいる。我々はどちらの意見を信じたらよいのだろう? 結局のところ、我々国民も、素人ながら自分なりに情報を集め、自分で真実を見極めるしかない。