回り灯籠

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ロシアが生物・化学兵器を使えば、NATOによる核使用もあり得る(米バイデン大統領)

3月24日にベルギーのブリュッセルで開かれたNATOの臨時首脳会議とEU首脳会議。バイデン大統領も出席して相当突っ込んだやり取りが行われたようだ。

今朝(土曜)の日経ニュースプラス9に出席した小谷哲男・明海大学教授がこんなことを言っていた。

一部引用する。

キャスター 今回の国際会議の1つの狙いだと思うんですけど、仮にロシアが不幸にして生物・化学兵器もしくは戦術核みたいなものにエスカレーションさせた場合、NATOはどうするんだということが非常に重要だったと思うんですけども、会議の後にバイデンさんが発言されていて、明確に答えないんだけれども「相応の対応をとる」みたいなことですね、エスカレーションに対して。これはどうですか、アメリカの対応は?

小谷 はい、大量破壊兵器が使われた場合、どう対応するかに関しては、あいまいに答えておくというのが原則なので、そういう意味ではバイデン大統領の発言というのは理解できると思います。

一方で、当然この首脳会議の場において、おそらくこの大量破壊兵器、生物・化学兵器核兵器が使われた場合にどうするかというのは、一番重要なポイントの1つであったと思います。

当然その中身というのは出てこないわけですけれども、これに合わせてアメリカのメディアに、アメリカの今後の核戦略の指針の中身がリークされました。その中では、核兵器の役割というのは、単に核攻撃を抑止するだけでなく生物・化学兵器の使用も抑止するということが、今後の方針として引き継がれるということが出てきました。

これは間違いなく意図的にリークをしていて、ロシアに対して、生物・化学兵器に対してもアメリカは核兵器による反撃、反応というものを考えていると。

そういうメッセージを出したと考えられます。

当然だろうと思って聞いたのだが、産経ニュースを見たら早速、この問題がワシントン発で報道されていた。

www.sankei.com

【ワシントン=大内清】米紙ウォールストリート・ジャーナルは3月25日、バイデン米大統領が、核兵器の使用に関する米国の方針に重大な変更を行わず、通常兵器や生物・化学兵器などの攻撃に対しても核で反撃し得るとの立場を踏襲することを決めたと伝えた。

バイデン氏は就任前、核兵器の目的を「核攻撃への抑止と報復」に限定すべきだとし、核の先制不使用にも前向きな姿勢を示していた。しかし、ウクライナに侵攻したロシアが化学兵器を使用する懸念や中国の核戦力増強による脅威が高まる中、核使用の条件にあいまいさを残すべきだと判断したものとみられる。

バイデン氏は前回大統領選期間中の2020年春、外交専門誌フォーリン・アフェアーズに寄稿した論文で、米国が核兵器保有する「唯一の目的」は、「核攻撃を抑止し、必要なら報復する」ことにあるべきだと主張。オバマ政権の副大統領だった17年にも同様の考えを示した。

これに対し同盟国には、核兵器の使用目的を限定することで抑止力が低下するとの懸念があった。特に日本は、米国が核による反撃の選択肢を排除すれば、中国、北朝鮮が通常兵器と生物・化学兵器の使用や、侵略的な行動を躊躇(ちゅうちょ)しなくなる恐れがあると警戒。同様の観点からオバマ政権時代に検討された核の先制不使用にも反対してきた。

ロシアのウクライナ侵攻では、露軍が非人道兵器を使用する懸念が強まっており、北大西洋条約機構NATO)は24日の臨時首脳会議で「化学、生物、放射線、核の脅威への準備と対応力を高める」ことを確認。バイデン氏は対露でNATOや先進7カ国(G7)の連携を深める中で方針転換を決断した格好だ。

同紙が複数の米政府当局者の話として伝えたところによれば、バイデン政権は核攻撃の抑止が核兵器の「根本的な役割」だとしつつ、通常兵器、生物・化学兵器の使用や大規模なサイバー攻撃などの「極端な状況」では核使用の余地を残す。改定作業が進む「核態勢見直し(NPR)」に反映されるとみられる。

日本では以前、オバマ政権が検討した「核の先制不使用」方針に対し、「唯一の被爆国であり、核兵器廃絶の先頭に立つべき日本が反対するとは何事か!」と反対する声が上がっていた。

全く平和ボケも甚だしい。核廃絶の理想を掲げれば平和になるのか? 「国を亡ぼすつもりか!」と言いたい。オバマ政権にクレームを入れ、方針の見直しを求めた安倍政権の態度は正しかった。

国防・安全保障にとりわけ敏感な安倍政権だからこそできたことだ。

核兵器は「絶対悪」ではない。「核の先制不使用」「(短期的な)核廃絶」などもってのほか!

核兵器は毒にもなれば薬にもなる。先鋭的な核廃絶論者が言うような「絶対悪」ではない。彼らは、現実の世界に平和をもたらしているものが核抑止力だということが分かっていない。

ウクライナがロシアの毒牙にかかり、国土を蹂躙され、奪われ、国民の命も生活も何もかもズタズタにされてしまったのは、ひとえにウクライナがロシアの攻撃を防ぐに足る抑止力を持っていなかったからだ。その抑止力の中には核兵器も含まれる。

今回のロシアの侵略が、その事実を嫌というほど見せつけてくれた。

我々は先鋭的な核廃絶論者(=核兵器を絶対悪と見なし、すぐにでも核兵器を廃絶し、禁止すべきと主張する人たち)についていってはならない。彼らの言うことを真に受けて国民世論がそんな方向に動いてしまえば、日本は近隣の核兵器保有する「ならず者国家」の餌食になるだけだ。

私がウクライナに同情するのは、バイデン大統領が「たとえロシアが侵略したとしても米軍は派兵しない、NATOは動かない」と事前に言ってしまったことだ。これがウクライナの運命を決定づけた。その意味でバイデン大統領の責任は極めて重い。

「ロシアがウクライナに侵攻しても、アメリカもNATOも直接、交戦はしない」と事前にロシアに教えてやったのだ。愚かなことをしたものだ。

バイデン大統領はなぜ「あいまい戦略」をとらなかったのか? ウクライナNATO非加盟だから、「ウクライナ軍と共に戦う」と事前に言うのは難しかったかもしれない。それなら次善の策として、あいまいにぼやかしておけばよかった。

本来は、ロシア軍が侵攻したら直ちに反撃できるようにNATOが非常時の態勢を取り、「そっちがその気なら、我々はいつでも受けて立つぞ。核戦争になって滅びるのはロシアの方だ!」と、とことん強気の態度でプーチンに立ち向かうべきであった。

この強硬姿勢こそがロシアの野望をくじくのである。戦争する覚悟を固めることが戦争を防ぐ。「ならず者国家」を抑止するには、この方法しかない。「侵略したら経済制裁するぞ!」では侵略は防げないし、事実防げなかった。